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森絵都『カラフル』から「人や世界は単色ではなく複雑なグラデーションで彩られている」ことが分かります!

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『カラフル』の名言

どれがほんとの色だかわからなくて。

どれが自分の色だかわからなくて。

 

『カラフル』から変えられる行動

自分自身だけでなく人のこともこういうもんだと決めつけがちな人が

  • 内面の複雑さに目を向けれるようになる
  • 常識に捉われなくなる
  • 思い込みがなくなる

『カラフル』のあらすじ

死んでしまった主人公の「ぼく」は人間界で新しい体でやり直しができる権利の抽選に当たったと一方的に天使プラプラから告げられます。

しかし、ある期限内で「ぼく」が「前世で犯した悪事を思い出さなくてはいけない」という条件も付いてきてしまいました。

 

そして「ぼく」の転生した先は、「小林 真」という自殺未遂の中三の冴えない男の子の体でした。

そこで「ぼく」は不安を抱えながらも「小林 真」として人生の再出発の生活をしていきます。

 

しかし、生まれ変わった「ぼく」が見たものは、周囲の人々の表裏のある顔ばかりでした。

  • 自分だけよければいい偽善者の父親。
  • フラメンコの先生と浮気中の母親。
  • 弟の前では悪口しか言わない兄。
  • 憧れの年下の女の子 桑原ひろかは、中年オヤジと援助交際中。
陰で笑う男

 

とまあ、これでもかというくらい「ぼく」は冷ややかな目で周囲を見ているのですが、「小林真」の進路問題やクラスメイトとの交流を通して、「ぼく」の心は次第に変化があらわれてくるのです。

 

そして、「ぼく」の思い出した悪事とは・・・

 

最後に「ぼく」自身の転生前の記憶も蘇るのですが、一体「ぼく」は誰だったのでしょう

理解できなくて頭にはてなマークが浮かんでいる男性

名言の状況

憧れている桑原ひろかと美術室で二人きりになったときの会話からです。

 

ひろかは援助交際を悪いこととは思っていないあっけらかんとした女子ですが、実はその日によって変わる心の変化にかなり悩んでいたのです。

 

  • きれいなものが好きなのに、時々ぐちゃぐちゃに壊したくなる。
  • 長生きはしたいけど、一日おきに死にたくなる気も起こる。
  • 優しくしたいのに、誰かをすごい傷つけたくなる。

 

こんな風に感じてしまうひろかは自分のことを「頭がおかしい」とか「狂っている」と泣きながら「ぼく」に訴えます。

 

そんなひろかに「ぼく」はみんなそんな風に感じているから“それがふつう”だと言います。

 

でも「死ぬ」のだけはやめたほうがいいけどね。

 

「みんなそうだよ。いろんな絵の具を持ってるんだ。きれいな色も、汚い色も。」

この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。

どれがほんとの色だかわからなくて。

どれが自分の色だかわからなくて。

名言の本質

一言でその人のことを全て表すことはできません。

 

たとえ犯罪者でも『蜘蛛の糸』のカンダタのように優しさを持っている一面があるのです。

そういう意味で言えば「100%善人」も「100%悪人」というものはこの世には存在しないのではないでしょう。

※芥川龍之介『蜘蛛の糸」に出てくる大悪人 カンダタはさんざん悪事を働いて地獄に落とされましたが、生前蜘蛛を殺さずに助けたということで天国へ引き上げられるチャンスをもらいます。

 

人間は「長所」も「短所」も「得意」なことも「欠点」も「常識的な面」も「非常識な面」もあわせ持っています。

そういった正反対の感情をあわせもっているから人間ではないでしょうか。

 

著者は、こんな一言で表せない色彩豊かな人間の性格や複雑な人間関係を「カラフル」と表現したのでしょう。


行動への応用

『カラフル』の主人公は中学生ですが、大人になっても“自分の色”って分からなくないですか?

色のデフォルメ

自分のことを100%分かっているような気になっているけど、実は全然分かっていない。

自分のいい面と悪い面を発見して一喜一憂して、また新しい一面を発見して更に一喜一憂して・・・・

 

そんなことを繰り返し大人になっていき、ある程度のところで「自分はこんな人間だから・・」と妥協して折り合いをつけていませんか?

 

 

それは他人に対しても同じで、誰かの言葉や態度だけどその人の色を決めてはいませんか?

 

前は優しかった人にちょっと嫌なことを言われたらそれがその人の本性だと思ってしまう。

逆に第一印象が悪かった人にちょっと優しくされれば、「この人実はいい人かも・・」と思ってしまうことも・・

 

 

こういった色の変化を体験しながら、その人のことを次第に知っていくのですが、一面的な部分だけで判断して「この人好き」「この人嫌い」と思ってしまうことは大人になってもよくあることですね。

でもそんな考えをしているうちはまだ精神的に幼いのでしょうね。

 

なぜなら、人は一色で表せるものではなく、虹のようなグラデーションだと思うのです。

虹の色の境目がはっきり分からないように人の色もはっきり表せるものではないでしょう。

 

「ぼく」は「小林真」の家族との交流を通じて最初に持っていた彼らのイメージの色を変えていきます。

今まで「ぼく」が見ていた「小林真」の家族の色は一色でした。

しかし実は不倫していた母も、自分のことしか考えていないと思っていた父も、いじわるだった兄も、真に対する優しさの色があることに「ぼく」は気がつきます。

それは、黒だと思っていたものが白だった、なんて単純なことではなく、たった一色だと思っていたものがよく見るとじつにいろんな色を秘めていた、という感じに近いかもしれない。

 

角度次第ではどんな色だって見えてくる。

 


 

自分に余裕がない時って人のこともよく見えていなくどちらかといえば悪印象を持ちがちになります。

独りで生きているような孤独感を感じたりして、そんな時は世界が一色に見えているのではないでしょうか。

でもたぶんそれはあなただけの思い込みで、よく見ればねぎらいの言葉をかけてくれたり手伝ったりしてくれている人たちの優しさや愛で溢れているカラフルな世界にいることに気が付くはずです。

 

もっとも僕は今までそれに気づかなかったことばかりだと思いますが・・・

 

 

そんな一色の世界なんて居心地が悪いですよね。

 

自分も他人もカラフルだから、人と人が交われば世の中はカラフルに染まります。

 

 

カラフルな世界目いっぱい楽しみましょう!!